ロンドンを経由して、スペイン・バルセロナからジローナ、ビックをめぐってカタローニャ・ロマネスクにちょっとだけ触れてみた。
ついでに、もちろんクラブを担いでいって、ときどきゴルフ。

 ロンドン・ガトウィックを8時15分発のイージージェット便。11時20分バルセロナ着。
 スペインとは1時間の時差があり、実質2時間の飛行である。往復、約9.000円!。機内サービスはなく、飲み物、サンドウィッチなどは機内販売。機材はエアバス330。

 昼前にバルセロナに着いたものの、もたもたしているうちに時間が過ぎ、日曜日とあってピカソ美術館も、カタローニャ美術館も午後3時までの開館。宿に車をおいて、タクシーでサグラダファミリア。
 ここにはじめてやってきたのは、1979年の1月。以来1986年、1990年とバルセロナに来るとつい立ち寄ってしまうところである。今日も相変わらず各国お上りさんでいっぱい。階段で一番上まで登る。
 ぶらぶら歩いてグラシア通りに出、カッサバトリョに入る。ここも大盛況。しかし、ガウディさんも本人が思っても見なかったことだろうが、バルセロナの観光資源として、こんなにも貢献するとは……。

サグラダファミリアの階段からの眺め
バルセロナ市街を俯瞰する
徹底的に装飾が施されたネオ・ゴジック
1882年以来建築が続けられている。
ガウディが生前完成させた東正面は
午後になると逆光になってしまう。
繊維業界のブルジョア、バトリョ家。
屋上の煙突で、煙が風にゆらぐ様を表している。
ガウディの写実を大切にした自然主義がうかがえる。
  

 とにかくロンドンからバルセロナに着くと、物価の安さにほっとする。タクシー、ビール、ホテル…。気温も10月だというのに半袖でも暑く、若い女性はノースリーブでおっぱいの割れ目を見せびらかしている。う〜ん、やっぱスペインはいいよな〜。
 ランブラス通りからゴシック地域に入った、観光客でいっぱいのレストラン「ロス・カラコーレス」。サラダ、魚のスープ、パエリア、コーヒー、リオハのワインをたっぷり。う〜ん、やっぱスペインはいいよな〜。歩き疲れてバタンキュー。

10月4日(月)

 バルセロナからA9を北上、ジローナの手前15Km。周りは何にもない丘陵地帯。
 10年の計画と再開発の後に2000年7月にオープン。いきなり、プジョー・ゴルフガイドで18点が付いたコース。ちなみに全英オープンが開催されるコースが19点。かなり高い評価である。
 コースは適度なアップダウンがあり、水が絡むホールや壮大なスケールを感じさせるホールもあり、まさにチャンピオンコース。PGAというからにはツアーコースであるがピート・ダイを代表とするスタジアム系でなく、R.T・ジョーンズ・シニア系のパークランドコース。近い将来ヨーロッパ、トップ5入りをするだろうといわれているのが納得させられる。グリーン・フィは56ユーロ(約7.800円)

 10時35分、イングランドから来た JhonとBarryと一緒。彼らはバギーで私は手引きカート。前をBarryの息子たち4人組が全員担ぎで行く。
 距離はイエローから、アウト3,075m、イン3,151m、トータル6,226m(6,848ヤード)。
 1番は左ドッグレッグで366mのミドル。ティーから打ちおろしで曲がったところの左230mの所に小さな池がある。私の距離で丁度入るにくいレイアウト。パッシーンと快音を残してクリーンヒット。まっすぐ右の林の中…、ボギー。

 3番、4番、5番と池がからみ、イングランド勢は苦戦。ハンデは16と18とかで、池につかまることが多い。私も大暴れで49。
 フェアウェーも上等、グリーンはベントでアンジュレーションがあり、手入れが良く速い。
 13番は美しいホールで(最初と、上左の写真)352m(392ヤード)のミドル。右の林に入れ、真横に出して9番で池を越してかろうじて3オン。3パットでダボ。15番から距離があってきてロングをバーディー、ショートをパー、ミドルをパー、最後18番をボギーとするもインは44で93。第一戦を敗北の感。
 10月だというのに汗だくの暑さ。ハーフでペットボトルの水を飲み干す。良く晴れていて堂々とした大きなコース。アメリカのいいコースでプレーしているような感じ。フェアウェーの固さはイギリスと日本の中間。日本ほどではないが手引きカートがカラカラと転がらない。そのぶん疲れてしまった。
 豪華ではないがおしゃれなハウスでビールとサンドイッチ。ショップを冷やかして、ジローナへ。

 ジローナまで15、6Km。Girona(ジローナ)、カスティーリア語(スペイン語)ではヘローナ。
 人口約7万人。中世のたたずまいを残すカタローニャを代表する古都。カテドラルの『天地創造のタペストリー』はカタローニャ・ロマネスクの一極を示す作品である。


 「天地創造のタペストリー」は縦3.65×横7.7mの巨大な刺繍布。11世紀後半のもので旧約聖書の「天地創造」の場面を修道女さんたちが織りなしたものといわれる。
 素朴でいきいきと、愉快に魚も鳥も蟹もそして、創造主(キリスト=右の写真)も愛らしく表現されている。キリストの周りの帯には「神は『光あれ』といわれた。すると光があった」の文字。
 しかし、何としてもガラスケースに入って壁に掛けられているこの作品の部屋が暗すぎる。馴れるにしたがって見えてくるが、それでも細部までみるのは集中力を要し、老人性白内障の目薬を離せない身には辛い。

10月5日(火)

 エンポーダゴルフクラブはジローナから40Km足らず。カタルーニャの東北部の海岸「コスタ・ブラバ」と呼ばれる、そのほぼ真ん中にあたる所にある。
 1989年に土地の実業家たちにより計画され、アメリカのロバート・フォン・ヘイグの設計で1991年、最初のグリーン9ホールがオープン。92年、ブルーコース9ホール、93年、イエローコース9ホールがオープンし、27ホールの林間コースが完成した。

 グリーン・フィは52ユーロ(約7.000円)、電動のカート(写真・上)が13ユーロ(約1,800円)。
 クラブハウスはゆったりとしていて芝生のティグランドの練習場やパッティング練習場の向こうに広がるコースを眺めながらくつろげるテラスが素晴らしい。

左・1番、右・6番。池の手前が半島状態。迂回路は左から。
風格のある林間コース。右は18番。リゾートらしくコテージがずらっ。

驚いたことに、ヤーテージブックがない。「いま、ないの?」と聞くと、「はじめっからナイ」とのこと。しかし、ティーの横のガイド(写真参照)はしっかりしていて、それを見ながらラウンド。
 黄色から、ブルーコース2,927m、イエロー2,930m、計5,857m(6,442ヤード)。
 1番でティーショットを左へロストで7。2番、3番・パー、4番ロングをダボ、6番は272mで池の右の広いフェアウェーで遠回りするか、池の半島を狙っていくかのよくあるルート選択ホール。4番アイアンで半島にナイス、9番で奥へ安全にのせる。が、3パット。ってな具合でアウト45、インも内容は改善されず、46で91。
 プジョーの評価はPGAより下の17点であるが、フェアウェーはこちらの方が上でグリーンもアンジュレーションありでおもしろい。
まずは、堂々のコースです。

 ジローナに帰り、ビックへ移動。
 ジローナからビックまでは約70Km。丘陵地帯の快適なドライブである。土地の人はこのあたりを「スペインのトスカーナ」と呼ぶそうで、ゆったりとした大地のうねりや畑などを見ていると、ま、そうかなとは思うが、やっぱ「カタローニャの田舎」でええんとちゃう?と思える。
 マジョール広場に近い、町一番の?ホテルは満員で、教えてもらった少し離れたホテル、Balmesに。
 フロント横のカウンターでビールを飲み、部屋でシャワーをして窓から外を眺める。ビックの町は丘の高見にあるらしく、このホテルからも夕陽をおびて赤く染まった街並みの向こうにのどかな丘陵地帯が見渡せる。「おっ、トスカーナじゃん!」。
 ぶらぶらと15分ばかり歩いて、マジョール広場まで行ってレストランを探す。が、なかなかナイ。いい魚どっさりの魚屋のおばさんに「こんな魚、食べさせてくれるレストラン教えて」で、Culo(クロー)という所に行くも、「もう、今日は閉店したよ」とのこと。質素だけど、なかなか気になる食堂ではあった。しかたなしにマジョール広場に面したパブでパブめし。フライやソーゼージ、サラダの盛り合わせでビールをしこたま飲む。

ビック司教区美術館 Museu Episcopal

 1891年、開設のこの美術館は、モルガデスという司教がビック周辺の朽ちかけた聖堂から板絵や彫刻を拾い集め、多くの神父たちの整理と研究の協力を得て創設されたものだそうです。ロマネスクのファン(私のようなドシロートでも)見逃すことのできない美術館でもあります。
 15年ほど前、電車でリポール(Ripoll)というビックから30Kmくらい奥の所にロマネスクの彫刻びっしりの石の門を見に行き、その帰り、ビックで降りなければと思いながら宮本輝の「花の降る午後」(だったと思う、ようするに他愛のない小説=宮本さんごめん)に読みふけり、「ま、いいか」と、ズルしたのが、この美術館で、以降後悔の日々を送ってもいたのです。
 北イタリア、フランスのブルゴーニュ、そしてカタルーニャがロマネスク美術の先進地域だそうです。そのうちのカタルーニャはピレネー山麓の谷の奥の教会に残されたキリスト像、聖母子像、壁画が秀逸で、朽ちるに任せていたそれらを1920年代、バルセロナのカタローニャ美術館に移され、保存されています。
 ここビックの司教区美術館はその運動に先がけたものでもあります。展示の一部をご覧ください。

 磔刑のイエス。カタローニャには着衣で彩色をしたものが多い。「玉座の聖母子像」は千変万化。たくましい農婦風のマリアさまも。いずれも12世紀後半のもの。

 カタローニャ・ロマネスクによく見られる板絵の祭壇画。テーマは「栄光のキリスト」(左・ビック、右はカタルーニャ美術館のテンペラの壁絵)このテーマも定番。(11〜12世紀初頭)
 板絵には、悪魔に呑み込まれる。役人に拷問を受ける。人々にひっかかれる。釜ゆでになる。など、悲惨な場面が多く描かれる。が、キリストや聖人、マリアさまの顔や姿は実に平凡なその辺のおじさん、おばさんを思わせる。「この世は苦難の連続。けれど、ほら、救世主はそこ、あんたのそばにいる、そのお人だよっ!」ってな、ところじゃないかなあ〜。
 ロマネスクが嬉しくなる。そんな美術館です。

 バルセロナに戻り、「ピカソ美術館」、カタローニャ・ロマネスクの一大殿堂「カタローニャ美術館」「グエル公園」、むすめのリクエストのブーツ探しに2日を過ごしロンドンに帰る。

10月8日(金)

 フルウェルゴルフクラブはロンドン・ウォータールーからウィンブルドンを経て30数分のFulwellで下車、駅から歩いて2分。一昨年のリッチモンド・パークの西に位置する。
 パブリックではなく、立派なプライベートクラブである。が、ビジターも平日は受け入れてくれる。(週末も受け入れてはくれるが、ビジーな日が多くて要望にはなかなか応えられないと、ハウスのセクレタリーのおじさんは云っていた。)
 コースの雰囲気は林間のパークランドコース。スケール、格式ですこし負けるが4月のロイヤル・ウインブルドンに似ている。
 黄色のティーから、アウト2,945ヤード・パー35、イン3,213ヤード・パー36、6,158ヤード・パー71。グリーンフィ、平日30ポンド。

1番ティ
1番ティから広々としたフェアウェー
落ちついたイングランドのカントリーの雰囲気が漂う
大きな木、緩やかなうねりのグリーン
珍しい目土用ケース
駅前通に面した入口

 フルウェルのコースは、1904年 J.H.Taylor によってヒースと農地であったこの地に造られた、第二次世界大戦でもとの農地に返還。1958年8月 J.S.F.Morrison がリデザインして再開されたそうです。
 朝露に濡れたコースはフラットで、フェアウェーは広く、グリーンも大きい。鬱蒼とした林のすぐ上をヒースローから飛び立った飛行機が飛び、その上をガトウィックからの飛行機が飛んでいる。
 4番・282ヤード・パー4、15番・299ヤード・パー4と短いものもあるが、8番・449ヤード・パー4、17番・562ヤード・パー5など手に負えないホールもある。ちょっとひねってあるホールもあるが、嫌みがなくたのしいコースである。
 あがって、ビールとサンドウィッチ。これがまたプライベートクラブならではの安さ。ビール1.2ポンド、ローストビーフ・サンドウィッチ2ポンドという具合。
 予定より早く終わったので、ロンドンに出、大英博物館でアフリカ特集を見る。ソーホーで中華、老酒をたらふく。

10月9日(土)

 いつもながら、あっという間の9日間。今日はヒースローから発たねばならない。
 土曜日にエントリーできて、できればヒースローに近いいいコースはないものかと探したところ、ありました、設計は私の好きなR・T・ジョーンズ・シニア、ヒースローからM4をはさんでタクシーでわずか5分、6,754ヤード・パー71、週末30ポンド。
朝、電話すると12時30分ティタイムでどうだという。フライトは9時30分だから7時過ぎに空港に着けば充分。

ハウスは上がバンケットルーム、下がスパイクバー
丘陵地帯にあり、フェアウェーは広い
ヒースローから飛び立つ飛行機が見える
グリーンはメチャ速い。ときどき池が絡む
一緒になった香港出身のHoo(何)さんとJoe(曽)さん

 オープンは1993年。ニック・ファルドを迎えて行われたその時の大きな写真がハウスに掲げられている。
 ひんやりとした空気と空が大きく広がるコース。が、なぜか珍しくアフリカ系の人が多く混みこみ。スタートも遅れ、香港出身のフーさんとジョーさんと1時間遅れの1時30分頃。フーさんはエプソン系の企業、ジョーさんはエアカーゴの会社に勤めているそうだ。
 コースはさすがジョーンズ・シニア、ゆったりとしていてスケール充分。しかも戦略性もあり、白樺が囲むフェアウェー、グリーンとも文句なし。気分良く、前半は快調。が、週末だからかホールごとに待ち待ち。16番あたりから見にくくなり、18番のティショットは暗がりの中。ロストを2度してやっと7時前頃ホールアウト。
 エアカーゴのジョーさんが「ああ、もちろん送っていくよ!」とワーゲン・ゴルフで空港まで送ってくれる。
 チェックインをし、ビール、フィッシュ・アンド・チップス。キャドバリーを少し買い、テイク・オフ。飛び立って、伸びをしたらとたんに足にけいれん。これがまたしつっこく、ほとほと、歳しゃとりたくないもんだと情けなくなった次第。